【構文把握練習】中級編①英検準2級レベル

それでは早速、次の英文を和訳してみてください。


We must learn to recognize as causes what have ordinarily been taken to be effects.


もしこの英文を正しく和訳することができれば、

あなたが英検準2級レベルの英語力を持っていることは間違いないでしょう。


ちなみにこの英文は、Thomas Kuhn という科学者が書いた The Structure of Scientific Revolutions という本の中の一節です。


ヒントとして、causes と effects はここではそれぞれ「原因」と「結果」という意味です。

(cause and effect で「因果」という言い回しも有名ですね)

また、ordinarily は「いつも、普通、たいてい」という意味です。


それでは、自分の答えが書けるまでしばらく考えてみてください。



さて、答えは書けましたでしょうか?


正解は、

「いつもは結果だと考えられてきたものを、これからは原因として考えられるようにならなければならない」

です。



以下、解説です。

まず、英文は必ず動詞を中心に解釈する習慣をつけましょう。

learn to V は「Vできるようになる」という意味です。

recognize は「~をみなす、考える」という意味の他動詞ですが、意味を覚えるだけではいけません。

recognize A as B「AをBだとみなす、考える」という語法まできちんと覚えて初めて、recognize を理解したといえます。

すると、一見この英文では recognize の語法がおかしなことになっていることに気が付きますよね。

つまり、as B にあたる as causes という語句はあるものの、本来は recognize の直後に置かれるはずのA(目的語)が抜けてしまっている点です。

これはどういうことでしょうか?

このことを頭に置きながら、先を読み進めます。

続く what は関係代名詞で、必ず後ろに不完全文を伴って名詞節を作りますから、ここでも what have ordinarily been taken to be effects を、一つの大きな名詞のかたまりだと捉えましょう。

(関係代名詞 what 自体には、「もの、こと」という訳語を与えるのが基本です)

さて、what 節の中の動詞は take ですが、この take をどう訳すかが、この問題の最大のポイントであると言えます。

実は、動詞の意味を推測するうえで、必ず気を付けなければならないことがあります。

それは、

「動詞の意味は文型によって決まる」

ということです。

一番有名なのは、第4文型(SVO₁O₂)ですね。

この文型で使われる動詞は「授与動詞」と呼ばれ、すべて「O₁にO₂を与える」という意味になります。(ただし、take , cost , save , spare , deny は例外です)

つまり、「意味によって文型が決まるのではなく、文型によって意味が決まる」のです。

(「文型なんて勉強しなくても英語は出来るようになる」などという妄言を吐く人は、英語の最重要ルールの一つとも言えるこの点が理解できていません)

さて、この英文で使われている take はどのような文型で用いられているのでしょうか?

受動態で書かれているためにわかりにくくなっているので、いったん能動態に戻しましょう。

すると、have taken O to be effects という形になります。

(目的語(O)の位置には関係代名詞 what が入りますが、話を分かりやすくするためにとりあえずOとしておきます)

take が取りうる文型としては、第3文型SVO、第4文型SVOO、そして第5文型SVOC の3つが考えられますが、今回はこのうちのどれでしょうか?

実は、文型を特定する際の手掛かりは、to be effects の to be にあります。

be動詞は、おそらく私たちが英語を習い始めて一番初めに目にする動詞の一つですが、その根幹の意味は「=(イコール)」です。

したがって、ここでは O = effects という関係になっていることがわかります。

そうすると、今回の take は第5文型SVOC で用いられていることが特定できてしまうのです。

なぜなら、SVOC には O = C というルールがあるからです。

(逆に、SVOO には O₁ ≠ O₂ というルールがあります)

そして、先ほど述べた通り、「文型によって動詞の意味が決まる」わけですが、

第5文型SVOC には

①因果「SのせいでOがCになる」

②知覚・思考・発言「SはOがCだと感じる、考える、言う」

のいずれかの意味しかありません。

この2択のうち、どちらの意味になるかは文脈によります。

ただし、ここで言う「文脈」とは、「何となく、雰囲気で、前後の意味的に…」などという曖昧なものではありません。

文脈とは、客観的、かつ、目に見える形で示されたものを指します。

この英文では、causes と effects という語に注目しましょう。

cause and effect で「因果(関係)」という言い回しもあるように、この2語は今回の英文でもセットで使われています。

言い換えれば、causes と effects には、「意味的なつながりがある」ということです。

そこで、動詞を含めてこの2語を並べてみると次のようになります。

recognize O as causes と take O to be effects 

さらに、前置詞の as は必ず「=(イコール)」の意味を持ちますので、次のようにも書き換えられます。

recognize O = causes と take O = effects

どうでしょうか? recognize と take にも「意味的なつながり」が見えてきませんか?

そうです、recognize が「~をみなす、考える」であれば、この take も「~をみなす、考える」と訳すのが正しいのです。

これが「文脈を見る」ということです。

よって、what have ordinarily been taken to be effects は「いつもは結果だと考えられてきたもの」となります。

それでは最後に、主節の文型の特定の作業に戻りましょう。

recognize A as B の A が抜けているという話でしたね。

目的語になることができるのは名詞だけですから、名詞が一つ行方不明になっているということです。

そこで、この英文の中にある名詞を一つひとつ見ていきましょう。

まず We ですが、これは主節の主語として働いています。

(ちなみに、今回の We は「一般論」の主語として形式的に置かれているだけなので、和訳するときには無視しても構いません)

つぎに causes ですが、これは recognize A as B の B、厳密にいうと as という前置詞の目的語として働いています。

そして関係代名詞の what 節(これは全体で大きな一つの名詞と考えるのでしたね)ですが、これはどういう働きをしているでしょうか?

他に we がいるために主語になることは当然できず、また、直前に他動詞や前置詞もいないので、一見すると目的語として働いてもいないように思えます。

そして直前に自動詞もいないので、補語として働いているということも考えられません。

つまり、what 節は「役割を持たない名詞」ということになります。

さて、整理しましょう。

「recognize の直後で名詞が一つ足りず」、逆に「文末で名詞が一つ余っている」状態です。

どうすればよいか、もうお分かりですね?

「名詞が余っている所から、足りないところに移動させてあげればよい」ということです。

というわけで、recognize A as B の A (=recognize の目的語)は、実は what 節だった、ということがわかります。

つまり、recognize A as B が変形して、recognize as B A という形になっていた、ということだったのです。

ちなみになぜ A が後ろに移動していたのかというと、単純に「A が長いから」です。

英語は長いものを文の後ろに回すという特徴があるので、今回のような変形はよくあることです。


これらのことをすべて踏まえると、冒頭に示したような和訳が出来上がるのです。


以上、解説でした。


今回の問題から得られる最大の教訓は、

「動詞の意味は文型によって決まる」

「『文脈を見る』とは『客観的かつ目に見える形で示された手がかりを見つける』ということ」

でした。


是非これからの英語の勉強に役立ててください。

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