辞書を使わずに、次の英文を和訳してください。
We call the force causing objects to fall gravity.
ちなみにこの英文は、Carlo Rovelli という物理学者が書いた Reality Is Not What It Seems という本の中の一節です。
ヒントとして、gravityは「重力」という意味です。
この英文を正しく和訳することができれば、英検3級程度の英語力は身に付いていると言えるでしょう。
正解を見る前に、しばらく自分で答えを考えてみましょう。
さて、答えは作れましたでしょうか?
正解は、
「物体を落下させる力は重力と呼ばれる」です。
以下、解説です。
まず、英文は必ず動詞を中心にして解釈するようにしましょう。
この英文の動詞は call ですが、call は SVO文型、もしくはSVOC文型で使われる動詞です。
直後の the force が call の目的語(O)になっていますが、ここまで読んだだけでは、まだどちらの文型なのかは判断できませんので、さらに読み続けます。
the force に続く causing は現在分詞で、the force を後ろから修飾しています。
(force に付いている定冠詞の the は、いわゆる「予告のthe」と言われるもので、その名詞に後ろから修飾語句がかかることを示しており、この the があるおかげで causing が動名詞ではなく現在分詞であることが瞬時に判断できるのです)
そして、cause は cause O to V 「OにVさせる」という語法で用いる動詞ですから、causing objects to fall までを一かたまりの修飾語句と捉えます。
この際、fall gravity をつなげて読んではいけません。もし、「重力を落とす」と訳してしまった人は、基本的な動詞のことをまだきちんと理解できていない証拠です。
「重力を落とす」という和訳が意味不明であることはもちろんですが、それ以上に問題なのは、「fall は他動詞ではなく自動詞である」ということをきちんと覚えられていないという点です。自動詞である fall は決して後ろに目的語を置くことができないのです。
このことをきちんと理解していない人は、英作文などで「財布を通学中に落としてしまった」を、I fell my wallet on the way to school. などと書いてしまうのです。
(正しくは、I lost my wallet on the way to school. とするべきです)
さて、ここまでで We call という SV の後ろに the force causing objects to fall という O が続いているということがわかりました。
そして、最後に gravity という名詞が残ることになります。
名詞には「必ず主語(S)か目的語(O)か補語(C)のいずれかにならなければならない」というルールがあります。
この英文の場合、主語は We ですから、可能性としては目的語か補語のどちらかということになりますが、動詞が call であるため、目的語には決してなりえません。(call を SVOO文型で用いることができないからです)
したがって、消去法により、残る gravity は補語ということになり、英文の文型は SVOC であることが確定します。
SVOC文型で用いる call は「OのことをCと呼ぶ」ですから、
「私たちは物体を落下させる力のことを重力と呼ぶ」という和訳が完成します。
ちなみに、主語の We は「一般論」を述べる時に形式的に用いられるものですから、和訳する際にはあえて無視したほうが自然な日本語になります。(we のほかに you や they もよく用いられます)
そうすると、最初に示した正解のような和訳になるのです。
解説は以上です。しっかりと理解できたでしょうか?
まとめとして、この問題から得るべき最大の教訓は、
「動詞は意味だけでなく、自動詞なのか他動詞なのか、そして、その動詞が取りうる文型(いわゆる語法)までもきちんと覚えなければならない」ということです。
これからの英語学習にぜひお役立てください。
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