2024年度 大学入学共通テスト英語リーディング 所感

2024年度大学入学共通テストの英語リーディングは例年よりも難しかったと思います。

その要因は主に二つ。

①試験時間に対して文章量が非常に多い。

②時間に余裕がない中で,精読を要する問題が増えてきている。


まず①については,今年の問題は本文・設問・選択肢含めると総文量は約6300語で,これは昨年よりも約200語増加しています。これまでも「問題量が多い」「時間が足りない」と言われ続けていましたが,その傾向にさらに拍車がかかった形です。実際,私自身も今年の問題を時間を測って解いてみたところ,最後まで解き終わるのに70分かかりました。試験時間は80分ですので,見直しの時間を入れると本当にギリギリです。全ての問題を解き終わることができなかった受験生も少なくないのではないでしょうか。


続いて②に関しては,あまり去年までの問題には見られなかった新しい傾向です。しかし,来年以降はこの「精読を必要とする問題」が徐々に増えていくのではないかと思います。具体的な例題をあげると,まず第3問Bの問3。On the way home, Yuzu looked up and most likely saw [  23  ] in the night sky. の空欄箇所を埋める語句を選択肢から選ぶ問題です。速読を重視するあまり,内容をあまり理解しないまま斜め読みをした受験生は,満点の星空を描いたイラストなどに引っ張られて,①a shooting star や ④the Milky Way を選んでしまった可能性が高いでしょう。設問の On the way home という表現を見ると,ついつい本文の最終段落( On my way home after school, ...)だけに目が行きがちになってしまいますが,最終文の中にある what Mr Leach had told us が,一つ前の段落内の that humans have created so much artificial light that hardly anything is visible in our city's night sky を指すということをきちんと押さえながら読み進めていれば,②just a few stars が正解であることがわかったはずです。しかし,これは「一文一文きちんと読む」というだけのレベルであって,厳密には「精読」とは異なります。厳密な意味での「精読」が必要とされたのが,第6問Aの問4です。これは Prospective timing の具体例を選択肢から選ぶ問題ですが,まずは Prospective timing がそもそも何なのかを把握する必要があります。これは比較的簡単で,本文第3段落の2文目に,It[prospective timing] is used when you are actively keeping track of time while doing something.「何かをするのと同時に,意識的に時間を計測すること」とあり,特に「何かの作業をしながら」というのがポイントになります。そこで選択肢を見てみると,「何かをしながら」という要素が含まれているのは,唯一① guessing how long you've been jogging so far だけなので,これが正解になります。しかし,この最後の選択肢の絞り込みがなかなか難しいのです。なぜなら,選択肢内で使われている細かい文法事項にまで注目して選択肢を選ぶ必要があるからです。例えば,選択肢①を「これまでにジョギングをしてきた総時間を推測すること」という〈経験用法〉に解釈してはいけません。その場合は guessing how long you've jogged so far と書かれるはずです。しかし,選択肢では guessing how long you've been jogging so far というように進行形が使われているので,「今のところどれくらいの時間走り続けているのかを推測すること」という〈継続用法〉が正しい解釈になります。「細かい部分は置いておいて,とにかく早く読む」ことしか意識していないと,このことにまで気が回らず,いつまで経っても正しい選択肢を絞り込むことができなかったはずです。しかし,「動詞が進行形で書かれている選択肢は①だけ」ということに気が付きさえすれば,ものの数秒で正しい答えが選ぶことができたのです。このように,「細かい文法事項や文構造まで考慮しながら読むこと=精読」が必要とされる問題が,共通テストでも出題されるようになってきているのです。


以上の2点が,今年のリーディング問題の難しいポイントだったと思います。

青藍塾では,「速読と精読」を両立させるべく,細かい文法事項や文構造にまでこだわった読解方法を繰り返し学んで行けるようにカリキュラムを工夫して授業を行っております。今回の記事に少しでも興味を持っていただけた方や,共通テスト対策を早めに進めたい方,英語を得意科目にしたい!という方は,どうぞお気軽に弊塾までお問い合わせください。

皆様との御縁を心待ちにしております。


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