こんにちは,青藍塾代表の澁谷です。
昨日1月14日(土)に大学入学共通テストの英語の試験(リーディングとリスニング)が行われました。
ネット上に問題がアップされましたので,私もリーディングのほうを早速解いてみました。
今日はその時に気づいたことを書いてみたいと思います。
まず,何とか全問正解することができましたが,いくつか選択肢を選ぶのに迷った問題もありました。
例えば,第1問Aの問2。答えは④You can meet performers at the theaters. ですが,本文中には Actors available to talk in the lobby after the performance. という表現しかありません。theaters を「建物全体」と捉えるのか,それとも「劇が行われる広間のみ」と捉えるのかで答えが変ってしまいます。(辞書にはどちらの意味も載っています。) また,You can meet performers at the theaters. という言い方には,「theaters でなら役者に会うことができる」→「逆に,theaters 以外の場所では役者に会うことはできない」という意味も暗に含まれますが,常識的に考えて theaters 以外の場所で役者に出会う機会なんてそうないでしょう。試験に出すまでもない,当たり前の話です。何を問いたいのかがよくわからない問題でした。
選択肢に迷ったもう一つの例が,第6問Bの問1です。クマムシの特徴として当てはまらないものを選ぶ問題で,答えは④sixteen different types of feet でしたが,本文中には Some species have sticky pads at the end of each leg, while others have claws. There are 16 known claw variations, which help identify those species with claws. という似たような表現があります。要約すれば,「クマムシのなかには足の先に爪(claw)を持つクマムシがおり,その爪には16種類ある」という説明ですが,爪(claw)を足(feet) の一部だと考えれば④は本文内容に当てはまることになり,逆に爪(claw)と足(feet)を別物だと考えれば当てはまらないことになります。このせいで選択肢に迷った受験生も多かったのではないでしょうか。もちろん,leg「脚」 と feet「足」には明確な使い分けがあります。人間の股関節から足首までには leg を使い,足首から先には feet を用いるということは,受験生でも必ず知っておくべき知識です。しかし,ここでテーマとなっているのは人間ではなくクマムシです。クマムシの身体構造上,どこまでが leg で,どこからが feet になるのかは,学校では絶対に習わないはずです。このようなどうでもよい言葉遊びのような問題を,共通テストでは出題するべきではないでしょう。これでは中学・高校の授業で真面目に英語を勉強してきた受験生たちが報われません。
次に,私が問題を解いていて思ったのは問題量と試験時間についてです。共通テストの英語(リーディング)の試験時間は80分ですが,私がリーディングの問題を解き終わるのにかかった時間は70分でした。もちろん,上に書いたような選択肢に迷う問題に無駄に時間を取られてしまったせいもありまずが,それにしても現役の受験生よりも10年以上英語を長く勉強しているはずの私ですら70分かかったという事は,平均的な受験生はすべての問題に目を通すことにすら苦労したはずです。
私は決して80分という試験時間を批判するわけではありませんが,これではあまりにも国立の二次試験などで問われる英語力とは性質が違いすぎます。つまり,共通テストでは学校で習ったこととはあまり関係なく,「深い思考力は必要とされず,とにかく早く読み飛ばして,(くだらない単語のひっかけ問題にひっかからずに)必要な箇所だけかいつまんで問題に答えればよい」のに対して,国立の二次試験では「時間をかけてじっくりと読んで考え,論理的にそれを要約・表現しなければならない」ということです。一次試験と二次試験で問われる能力がこれほどまでに異なると,受験生たちは完全に二足のわらじを履くことになり,それはあまりにも負担が大きすぎると思います。
以上のような理由から,私は今年の共通テストの英語の試験をあまり出来の良いものだとは思いませんが,文句ばかり言っていてもこれを読んでくれているかもしれない将来の受験生たちにとっては役に立ちません。そこでアドバイスを一つ。将来,共通テストを受ける予定の方は,とにかく「長い文章を速く読む力」を鍛えておきましょう。そのためには単語や文法の知識が必要であることは言うまでもないことですが,何よりも「80分間ペースを落とさずに英語の文章を読み続ける集中力」が重要だと思います。いくら単語と文法の知識が完璧でも,途中で集中力が途絶えてしまえば,後半の問題でミスが続発してしまいます。
この集中力は一朝一夕で身に付くものではありません。遅くとも高校に入ったタイミングで英語の長文を読む練習を始め,それを徐々に長くしていくことが重要です。青藍塾では大学受験対策として長文問題をメインに学ぶようにしています。長文問題は共通テストだけでなく,国立二次試験や私大の入試でも配点のほとんどを占めていますので,今のうちから受験対策を万全にしておきたい方は,ぜひ青藍塾の授業をご検討下さい。
最後まで読んでいただき,誠にありがとうございました。
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