「継続」を表す現在完了進行形の否定文について

皆さん,こんにちは。

青藍塾代表の澁谷です。


タイトルにもある通り,今日は「『継続』を表す現在完了進行形の否定文」という,非常にマニアックな内容についてお話ししたいと思います。

そもそも,私がこの記事を書こうと思い立ったきっかけは,2018年度の千葉大学の入試問題で,次のような設問が出題されていたからです。


【設問】上下の英文が同様の意味になるように,太字で書かれた単語を含む2~4語の単語を空欄に入れなさい。

It is ten years since I last smoked.

I ( for ) ten years.


この問題,正解は I ( have not smoked for ) ten years. (「私は10年間たばこを吸っていない」)なのですが,受験生の中には,「 have been smoking『10年間たばこを吸っている』の否定文にすればいいのだから,have not been smoking とするのが正解だろう」と考えて,4語に収まるように haven't been smoking for と書いた人も少なくないと思います。

ところが,haven't been smoking for は誤りです。

そして何とも不親切なことに,赤本の解説では haven't been smoking for がなぜ間違いなのかが一切説明されていないのです。

これでは真面目に勉強している受験生があまりにも可哀そうだと思い,今回の記事を書くことを決意したわけです。


さて,上記の I haven't been smoking for ten years. が間違いである理由についてですが,一言でいえば,

動作の否定は状態を表すから

です。

これだけではわかりにくいと思いますので,順を追って説明します。

まず,先ほども書いた通り,「私は10年間たばこを吸っている」であれば,

I have been smoking for ten years.

のように,「現在完了進行形」を「期間を表す語句( for ~ や since ~ など)」と用いて「動作の継続」を表します。

しかし,それを否定文に書き換える場合,ただ単に not を置けばよいというわけではありません。

なぜなら,「私は10年間たばこを吸っていない」という否定文は,厳密に言えば,「たばこを吸わない『状態』が続いている」ことを意味しているのであって,「たばこを吸わない『動作』が続いている」わけではないからです。(「たばこを吸う」という動作は存在しますが,「たばこを吸わない」なんて動作は存在しませんよね?)

つまり,ここでは「動作の継続」ではなく,「状態の継続」を意味しているのです。

そのため,普段は「動作動詞」として用いられる smoke でも,ここでは例外的に「状態動詞」であると捉え,あえて進行形にはせず,

I have not smoked for ten years.

というように現在完了普通形で表すのです。


似たような表現に以下のようなものがあります。

「ここ3か月,雨が降っていない」

〇 It has not rained for three months.

✕ It has not been raining for three months.


「去年から父親に会っていない」

〇 I have not seen my father since last year.

✕ I have not been seeing my father since last year.


いずれの例においても,rain「雨が降る」 や see「~に会う」 は普通は動作動詞として用いますが,「期間を表す語句」を含む否定文においては,例外的に状態動詞として用いられるため,進行形にはしないのです。


私がこの記事を書くことで,悩める受験生を少しでも減らすことができたならば幸いです。


頑張れ,受験生たち!


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