次の英文を和訳してみてください。
A rarely mentioned drawback to science is how frequently we have to take as true things that cannot directly be confirmed by our senses.
この英文は、ガイア理論を提唱したことで有名な James Lovelock が書いた The Vanishing Face of Gaia という本の中の一節です。
単語はどれも英検準1級を受けるのであれば知っておかなければならないレベルですね。
さあ、しばらく時間を取って、和訳を作ってみてください。
さて、和訳は作れましたでしょうか?
正解は、
「めったに言及されることのない科学の欠点は、我々の感覚で直接確認することができないものを真実として受け入れなければならないことがいかに多いかということである」
です。
以下、解説です。
この英文の主語は A rarely mentioned drawback to science ですが、単語の意味さえきちんと覚えていればこの部分を和訳するのはそれほど難しくないですね。
(ちなみに、drawback「欠点」は、後ろの前置詞に to が使われることもあれば、of が用いられることもあります)
主節の動詞はもちろん is ですね。
そして、how からピリオドまでが名詞節となり、is の補語として働いています。
(how 節は必ず名詞節を作るというルールも覚えておきましょう)
さて、この how 節のなかを正しく和訳することができるかどうかが今回の最大のポイントです。
まず、frequently は「しばしば・頻繁に」という意味( often より堅い語)の副詞で、how がいることによってこの位置まで後ろから引っ張り出されています。
それから、how 節の中の主語は we 、動詞は have to take であることはすぐにわかりますよね。
問題は、take の目的語です。
take は他動詞ですから、必ず直後に目的語となる名詞が置かれるはずですが、一見するとそれが見当たりません。
take の後ろには true things と our senses の二つの名詞がありますが、それぞれ true things には as が付いていますし、our senses にも by が付いていますから、どちらも目的語になることはできません。
(頭に前置詞が付いている名詞は、主語にも目的語にもなることができないというルールを必ず覚えておきましょう)
ではいったい、take の目的語はどこに行ってしまったのでしょうか?
実は、残された可能性が一つだけあるのです。
それは、true things をつなげて読むのではなく、true と things を分けて読み、things だけを take の目的語とみなすということです。
つまり、take as true things のもともとの語順は、take things as true だったということです。
take A as B は、第5文型SVOC で「AをBだとみなす」という〈認識〉の意味を持ちますから、we have to take as true things で「我々は物事を真実とみなさなければならない」という和訳が出来上がります。
ではなぜ語順が変形していたのかというと、皆さんはもうお分かりですよね?
【構文把握練習】中級編①英検準2級レベルでも詳しく解説した通り、
things に関係代名詞の that がくっついて、A が「長くなっている」からです。
( that の後ろが主語の欠けた不完全文になっているので、この that は関係代名詞だと特定できます。言われなくてもみなさんなら分かりますよね?)
したがって、things that cannot be directly confirmed by our senses は、「我々の感覚で直接確認することができないもの」となります。
confirm は「~を裏付ける・確認する」という意味です。(英検2級レベルの単語です)
最後に、how の訳し方です。
この how を疑問詞と捉えると、「どれくらい頻繁に我々は~を受け入れなければならないか」となりますが、これは誤りです。
なぜなら「欠点=疑問」では意味が通らないからです。
では、この how はどう捉えるべきか。
それは、感嘆詞です。
文頭ではなく文中で how + 形容詞/副詞 + SV という形が出てきた場合、how が疑問詞なのか感嘆詞なのか見た目では判断できません。文末には「 ? 」も「 ! 」のいずれも付かないからです。
そのため、文脈でどちらなのかを判断する必要があります。
注意してほしいのは、ここで言う「文脈を見る」というのは、
【構文把握練習】中級編①英検準2級レベルでも説明した通り、
「客観的かつ目に見える形で示された手掛かりを見つけること」を意味するということです。
例えば、ask / know / question / remember / tell / think / wonder / discover + how ~ という形で how が用いられていれば、その how は疑問詞と考えて問題ないでしょう。
しかし、今回は疑問詞と相性が良い語とともに使われているわけではなく、先ほど述べたように、「欠点=疑問」では意味が通らないので、疑問詞ではなく感嘆詞「いかに~であることか」と訳すようにしましょう。
以上のことをすべて踏まえると、冒頭に示した解答例の和訳を作ることができます。
ちなみに、皆さんの中には、
「take things as true と考えると、前置詞 as の後ろに true という形容詞だけが置かれていることになる。前置詞の後ろに置くことができるのは名詞だけではないのか!?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
まさしく、おっしゃる通りです。
普通、「前置詞は直後に置かれる名詞とセットになり、全体で形容詞か副詞として働く」というルールがあります。
しかし、as という前置詞だけはこのルールが当てはまらない場合があります。
これは前置詞 as が常に持つ、「=(イコール)」という意味に理由があります。
同じように、今回のような第5文型SVOC で書かれた英文には必ず「O=C」という関係が成立します。
そして、この「O=C」という関係をより明確に示すために、 O と C の間に as が置かれることがあり、なおかつ、名詞と形容詞のいずれもC(補語)になることができるというルールがあるため、「as + 形容詞」という形が生まれることがあるのです。
(ちなみに、as 以外で言うと、take ~ for granted「~を当たり前だと考える」も「前置詞+形容詞」という形になっています)
以上、解説でした。
ぜひ今後の英語の勉強にお役立てください。
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