2024年度 茨城大学 第4問 和文英訳 解答例

【設問】

 [出典:養老孟司『ものがわかるということ』祥伝社,2023]

 下線部(1)と(2)を,文脈にふさわしい英語で表現しなさい。



 現代人は総じて,感覚的に捉えることが苦手な人が増えています。都市社会,情報化社会では,社会が感覚を消していく方向に進んでいくからです。なかでも,テレビの責任は大きい。

 テレビはとても強力なメディアです。(1)テレビの映像は,一見,公平・客観的・中立なものに見えますが,テレビの映像はカメラマン個人の視点です。テレビが普及して以来,一個のカメラが撮っている映像を全視聴者が見るという,非常に異常な事態が続いているのです。

 そうすると何が起こるか。(2)視聴者は,その一つの視点が現実であるかのように感じてしまう。一人の視点を全員が共有できるような錯覚が生じるのです。

 現実の人間は視点を共有することなんてできません。全員,違うものを見ている。ところがテレビばかりに没頭すると,そこを忘れてしまいます。これはとても危険なことです。



【解答例】

(1) Although TV images may appear fair, objective, and neutral, they are actually subjective perspectives of cameramen.

 / Images on the TV screen, although seemingly just, objective, and neutral, are actually created through a cameraman's angle of observation.

(2) Viewers feel as if the particular perspective were the real.  They are possessed with the illusion that they can share any perspective of other people.

 / TV viewers feel as if the one particular angle of observation were a reality.  We have the illusion that we have the ability to share one particular way of observation.







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