2023年度 東北大学 Ⅳ 解答例

【解答例】

問1 We can easily obtain knowledge on the Internet [ without having to ] learn [ from others or read books ].

問2 Learning at university is not about finding yourself in prepared questions and answers, but about finding an unknown self in an unknown world.

(英訳文:大学の学びとは,用意された問いと答えの中に自分を見つけるのではなく,未知の世界の中に未知の自分を発見する作業なのだ。)

問3 ア (University teachers are asked to help students by teaching them how to answer unsolved questions and guide them to discovering unknown parts of themselves.)



【設問文】

 現代の学びは急速に変わりつつある。(A)知識は人に学ばなくても,本を読まなくても,インターネットですぐに入手できる。だから,学生は知識を学びに大学に来る必要はない。では,何を学びに来るのか。いまの時代にわかっていることではなく,わからないことは何かを知るために,そして自分と異なる個性を持った人との出会いを通じて自分の可能性と向き合うために来るのである。インターネットを通じて既知のものは手に入るが,未知のものはわからない。この世界はまだ多くの未知のことが眠っている。それは,適切な問いを立てなければ見えてこない。

 大学の教員とは,自らの研究を通じてその問いを立て続けてきた経験者である。それらの問いに対する答えはインターネットではなく,それぞれの研究者の中にある。それを学んで自分の問いを立て,自分の答えを見つける。それが自分のアイデンティティになり,自分の可能性を導いてくれる。(B)大学の学びとは,用意された問いと答えの中に自分を見つけるのではなく,未知の世界の中に未知の自分を発見する作業なのだ。大学という環境,教職員,そして学友たちがそれを後押ししてくれる。

 だから,大学の教員は自分の学問分野の中でこれまで立てられたと問いや答えとともに,自分独自の問いと答えを持っていなければならない。大学の教員には教員免許はない。研究者であるという自負と実績があるだけである。(C)その理由は,小中高の教育のように既存の知識を教えるのではなく,未知の答えにたどり着く方法を教え,未知の自分に出会う道へと学生を送り出すことが求められているからだ。そのために,大学の教員は常に自分の学問分野の広がりと深さについて熟知し,自分も未知への挑戦を続けていなくてはならない。大学教育で学んだ学生は,これから社会に順応するだけではなく,これから新しい社会や世界を作っていかねばならない。大学のその可能性を広げる場である。

(山極寿一『京大というジャングルでゴリラ学者が考えたこと』)



0コメント

  • 1000 / 1000