【解答例】
Ⅰ [出典:Grotzinger, J., Jordan, T. H., Press, F., Siever, R. Understanding Earth 5th ed., W. H. Freeman, New York, 2010]
(1) 地球の気候と地殻構造がどのように関わっているのかを最も分かりやすく説明する例の一つが,気候変動と山岳地帯の微かな隆起との相関関係である。現在では,その相関関係における原因と結果の方向をめぐる議論がある。山岳地帯の地殻の隆起が気候変動をもたらしていると主張する地質学者がいる一方で,気候変動のほうが地殻の隆起をもたらしているかもしれないと主張する者もいる。こうした議論は古くからある鳥と卵のジレンマのようなものである。
(和訳文:One of the clearest illustrations of how Earth’s climate and plate tectonic systems are coupled is provided by the feedbacks between climate change and the mean elevation of mountain belts. Currently, there are arguments on the directionality of the feedbacks. Some geologists insist that tectonic uplift of mountain regions leads to climate change, others that climate change may promote tectonic uplift. This type of debates is characterized by the classic chicken and egg dilemma.)
(2) 山が隆起すると,その斜面によって上昇気流が発生し,降雨量が増えることで,より氷河が作られ,川の水量も増加する。すると山の浸食の速度が増し,大気中から主な温室効果ガスである二酸化炭素も取り除かれる。そして温室効果ガスが減ることによって気温が低下し,さらに浸食が早まる。その結果,山が時間をかけて侵食されていき,最終的には山の隆起が小さくなるように,当初の影響力がその過程を経ていくうちに減少してしまう現象。(202字)
(3) まず気温が低下することで降雨量が増え,それによって氷河や川による山の浸食が進む。次に地殻均衡の影響を受けることで,浸食によって山岳地帯全体の体積が減少することになる。その結果,山が隆起し,山頂はより高くなる。そして再び山が隆起することによって降雨量が増加し,それが浸食速度の増加と更なる隆起をもたらし続けるように,当初の影響力がその過程においてさらに増加していく現象。(184字)
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