【設問】
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Explain what the author means by the underlined sentence in about 70 words.
ノートを書いておくことで,失敗を知見として役立てられるようになります。そして個人の生活以外でも,さまざまな「失敗」が前進のために活かされている場面があります。たとえば学術論文などは好例でしょう。
何かの実験でこういう結果が出たという発表があった後,その実験の追試が行われて「この方法でうまくいかなかった」と報告されることがあります。失敗の一つです。そうした報告がいくつも集まるならば,最初の発表がそもそも間違っていたと判断されます。失敗報告が積み重なって,一つの失敗が明らかになったわけです。しかし,それで科学が後退したわけでもなければ,前進してないわけでもありません。「その実験では望む結果が得られない」という新しい知見が得られたのです。将来研究をする科学者は,選択肢を一つ外して考えることができます。これは前進と言えるでしょう。
そこまで大きな話を持ち出さなくても,「うまくいかないことがわかる」は一つの知見だと言えます。そこから改善策がわかることもありますし,まったく違うアプローチを考えるきっかけになることもあります。何も考えずに,ただ同じことを繰り返して,同じ失敗を重ねているだけよりもはるかに生産的でしょう。記録を残していれば,そうした同一失敗のループを抜け出す手がかりが得られるのです。
日本社会では,どうにも失敗での嫌悪感が強いところがあります。それは,均質的なムラ社会であったり,あるいは生き方が一つのルートしかなかった時代の名残なのかもしれません。しかし,失敗することは,それほど悪いことではありません。失敗を経験してわかることもたくさんあります。記録をつけることは,失敗や挫折の捉え方を反転させ,それを知見として活かす道のりをつなげてくれるのです。
(倉下忠憲『すべてはノートからはじまる』2021年)
【解答例】
This sentence means making a note of your failures will surely prevent you from making the same mistakes again, and it will also enable you to turn them into the useful clues to be successful in the future. Furthermore, by doing so, not only you but also people in the future can make a wiser choice more efficiently. Therefore, keeping a record of your failures can be regarded not as a retreat but as an advance. (76 words)
/ He means that note-taking helps us make most of our failures. For example, if we have a lot of notes on failures of a certain scientific experiment, we can learn that it does not work. A failure also gives us a hint for improvement or even a totally different approach. Thus, taking notes prevents us from making the same mistake over and over, but helps us use it positively as knowledge. (73 words)
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