こんにちは。
青藍塾代表の澁谷です。
先週、4月から防衛医大に進学した教え子が前の職場に挨拶に来てくれました。
その日は非常勤講師として出講していたので、授業前の20分くらいしか話す時間がなかったのですが、その間いろいろと面白い話を聞かせてくれました。
まず、開口一番、「防衛医大に入って良かった!」と言っていました。
(実は彼は、もともと国立大の医学部志望で、東京医科歯科大学を第一志望としていましたが、共通テストで思ったように点数が取れず、前期は信州大学、後期は山梨大学に志望校を変更していました。結果は残念ながらすべて不合格で、唯一、防衛医大は合格していたのですが、そのまま防衛医大に進学するべきか、それとも一年間浪人をして再チャレンジするべきか、最後の最後まで悩み、期日ぎりぎりに防衛医大への進学を決心していました)
具体的に防衛医大のどういうところが気に入ったのかと聞いてみると、
「想像していたよりも規律がかなりゆるい」と言うのです。
さらに詳しく聞いてみると、まず、行進練習などの大人数での訓練は、新型コロナウイルスの影響で去年から実施されなくなったそうです。
(ただし、アイロンがけやベッドメイキングなどの指導は例年通りあるらしく、彼は「ベッドメイキングでクラス1位になった!」と嬉しそうに教えてくれました)
名物の「朝の起床ラッパ」についても聞いてみると、何と驚き、今は LINE で点呼をとっているそうです。
毎朝6時に各学生が班長の学生に LINE で起床したことをメッセージで送り、それを班長が取りまとめ、上官に報告しているそうで、仮にも防衛省の管轄組織である防衛医大が LINE ( LINEの親会社は韓国企業)を使用していることに正直驚いてしまいました。
さらに、班長のなかには、スマホの自動送信の予約機能を使って、実際に学生が起床しているのかを確かめることなく上官に報告している人もいるとのことで、これには思わず苦笑いしてしまいました。
また、「授業は?」と聞いてみると、
教室で行うような授業は特になく、課題がメインだそうで、課題さえ提出してしまえば、後の時間は自由に過ごしてよいのだと話していました。
普通の医学部のイメージからすると、びっくりですね。
そして、髪型についても、ルールが変わったのだとか。
これまでは、在学中は基本的に坊主頭(もしくはそれに近いくらい短く刈った状態)にしなければいけないものだと思っていたのですが、最近は防衛大臣が来賓として招かれる入校式のときさえ短く刈ってあれば、あとは1年生でも自由に髪を伸ばしてよいそうです。
(ただし、制帽を被った時に、横の髪が長いのはNGらしく、サイドの髪はカットして、上の髪を伸ばしている学生が多いそうです)
さらに、制服に関してもルールはゆるいらしく、基本的には防衛省のお偉い方が来校されるときだけはきちんと制服を身に付け、それ以外は必ずしも制服の着用が義務付けられているわけではないそうです。
一昔前の防衛医大のイメージからすると、どれも驚きですよね。
彼の場合は特に、ちょうどウクライナとロシアの戦争が始まったタイミングでの進学だったため、親御様も含めて防衛医大への進学には、かなり悩んだようです。
(「もしかして将来は海外の戦場に派遣されてしまうのではないか…」と本気で心配していました)
ですが、入学してからはその厳しいイメージとは対照的に、とても快適な学生生活を送っているようで、その笑顔を見て僕も一安心しました。
ちなみに、防衛医大の受験には一次試験(筆記)と二次試験(面接)があり、一次試験に合格すると、受験生をお世話する係の上級生から、かなり手厚いサポートを受けることができます。
(おそらくですが、彼ら上級生には、それぞれがお世話した受験生のうち、いかに多くの受験生を入学させることができるか、ノルマが課されているのかもしれません)
彼の場合、担当の上級生から学生生活のリアルを教えてもらえたのはもちろん、LINE交換をして面接試験のアドバイスをしてくれたり、面接で聞かれる項目をこっそり教えてもらったり(!)もしていました。
(担当する上級生によって、サポートの程度には差があるようですが…)
最後に、防衛医大生には卒業後9年間の自衛隊医官としての任官義務があることは有名ですよね。
もし、卒業時に任官拒否をすると、それまでの学費や生活費、給与を償還しなければならず、その金額はおよそ5000万円と言われています。
ですが、教え子からの情報によると、これが1年ごとに500万円ずつ減額されていくそうです。
例えば、5年間、自衛隊医官として任務に就いた後、自衛隊を退職する場合、残り4年×500万円で、支払わなければならない償還費は2000万円に減るそうです。
(ちなみに、人手不足に悩む地方の病院のなかには、償還費を肩代わりする見返りとして防衛医大卒生を自分の病院に引き抜こうとするところもあるようです)
時代とともに、自衛隊や国防のあり方も変っていくものだなあと感じました。
なにはともあれ、教え子の彼には防衛医大で学生生活を楽しみつつ、しっかり頑張ってほしいなと思います。
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